こんにちは、ウサタロウです。 前回の記事では、私が1級FP技能士でありながら、なぜ「働かなければならないのか」という家計の舞台裏をお話ししました。おかげさまで、同世代の方々から「自分も同じ不安を抱えている」と多くの反響をいただきました。
さて、今回は具体的に私がどのように仕事を探し、そこでどんな「壁」にぶつかったのか。メディアが報じる「人手不足」の正体と、現場で起きている「ミスマッチ」のリアルについてお話しします。

私が掲げた「5つの希望条件」と、現実の乖離
再就職にあたり、私は大手求人サイト4社 【 Indeed、タウンワーク、リクルート、求人ボックス 】に登録しました。自分なりに「これなら社会に貢献しつつ、無理なく働けるだろう」と考え、以下の条件を設定したのです。
1. 週3日勤務
2. 労働時間は週18~24時間
3. 土日祝日は休み
4. 体力的にきつくない仕事(肉体労働は避けたい)
5. 月収7万円~10万円程度
しかし、サイトから届く求人情報のほとんどは、ガードマン、介護職、清掃、飲食店スタッフといった職種ばかりでした。これらはどれも、私が希望した「体力的にきつくない」という条件とは対極にある、ハードな現場仕事です。
ここで最初のミスマッチが生まれます。社会が求めている「シニアの労働力」とは、文字通り「現場で体を動かす手足」であり、私たちが培ってきた「頭脳や経験」ではないという冷徹な事実です。
採用側の本音:「実績」よりも「都合」
私はかつて支店長や部長として、100名を超える部下のマネジメントや新規社員の採用に携わってきました。だからこそ、不採用通知を受け取るたびに、採用側の「意図」が痛いほどよく分かります。
正社員やフルタイムの採用において、企業が求めているのは「即戦力」です。履歴書に書かれた輝かしい過去の実績は、あくまで「前の会社」での話。環境が変わっても再現できる保証はありません。採用側は、履歴書や職歴書といった書類や1、2回の面接で、その人の「実力」を鵜呑みにすることはないのです。
一方で、パートやアルバイトの採用現場はもっとドライです。現場では「猫の手も借りたい」ほど人手不足ですが、欲しいのはその人の「キャリア」ではなく、「シフトの穴を埋めてくれる都合の良さ」です。 「週3日、この曜日だけ」という応募者よりも、「いつでも都合がつきます、融通が利きます」という人を優先したいのが本音です。かつての肩書きを誇るシニアよりも、素直に指示に従い、シフトに柔軟に対応してくれる労働力を求めているのです。
「有給休暇消化」という思わぬ落とし穴
今回の活動で、非常に驚かされた出来事がありました。 退職にあたり、私は34日分の有給休暇を消化していました。その期間中に面接を受けたある企業から、こんな断り文句を言われたのです。

「有休消化期間中にうちで働き始めると、ダブルワークとなり労働時間が通算されます。すると、あなたがうちで働く時間はすべて『時間外労働』となり、1.25倍の割増賃金を支払わなければなりません。実績のない方に最初からその費用は払えないので、今すぐ働ける人を優先します」
労働基準法の壁が、早期の再就職を阻む。これは、長年組織に守られてきた私にとって、目から鱗が落ちるような経験でした。「すぐにでも働きたい」という応募側の意欲と、「コストを抑えたい」という採用側の論理が、制度の狭間で激しく衝突した瞬間でした。
妥協点を見出す:私が選んだ「試験スタッフ」という道
いくつものミスマッチを経験した末、私は一つの結論に達しました。 自分の希望をすべて叶える仕事は、すぐには見つからない。ならば、まずは「自分の都合で場所や時間を選べる」働き方から始めようと考えたのです。まずは足場をひとつずつ作っていくことからスタートしました。
現在、私はある企業の「試験スタッフ」として労働者登録をしています。試験日の1ヶ月ほど前に参加希望を出し、採用された日だけ勤務するというスタイルです。たまにしか働けないため、家計の柱にはなりませんが、無理なく社会との接点を持てるメリットがあります。
ミスマッチの先に、私が目指すもの
「人手不足」と叫ばれながらも、シニアがこれほどまでに苦戦するのは、私たちが「自分の価値」を過信しているからかもしれません。あるいは、社会がシニアの「使い方」を知らないだけなのかもしれません。
私は今、こうした現場のミスマッチを身をもって体験しながら、「社会保険労務士」の勉強に励んでいます。 なぜ、あんな断られ方をしなければならなかったのか。労働法や社会保険の仕組みをもっと深く理解していれば、別の準備ができたのではないか。
私のこの「不採用」の山は、決して無駄ではありません。 次回の記事では、こうした就職活動の合間に私が始めている、地域コミュニティでの活動や、65歳からの「居場所作り」についてお話ししたいと思います。

キャリアをリセットするのは勇気がいります。しかし、プライドという重い荷物を少しずつ下ろした先に、新しい景色が見えてくる。そんな予感がしています。
今日という日は、これからの人生で一番若い日です。 一歩ずつ、共に歩んでいきましょう。
